アトピー性皮膚炎をはじめとした各種皮膚病治療例 本文へジャンプ
当院で実際に治療させていただいているワンちゃん猫さんの治療例です。
このページの一番最後に、当院の治療方法を載せておりますので、
治療を希望される方はご一読下さい。

 


重症難治性皮膚病(医原性クッシング、甲状腺機能低下症、
アトピー性皮膚炎、膿皮症、真菌症)の治療例
 
 




      初診            半年経過

6歳 フレンチブルドッグ オス

もともと以前よりアトピー性皮膚炎の治療を行っていた
とのことでしたが、4-5か月前より皮膚にビラン、石灰沈着が
でてきたとのことで、かかりつけより当院に紹介診療。

全身症状であったが、特に背側から頭部にかけての症状と、
真菌症特有の「臭気(におい)」が確認されました。

血液検査 
白血球数上昇 好酸球数 0 肝機能数値上昇 コレステロール上昇
甲状腺機能低下確認 
ACTH負荷試験 負荷後 低値


症状と検査結果より、医原性クッシング、甲状腺機能低下症、
皮膚真菌症の治療を行いました。

微量プレドニゾロン、抗ヒスタミン数種、抗プラスミン、
甲状腺剤、抗生剤、抗真菌剤、ビタミン、ミネラルを複合処方。
肝庇護剤の処方。

この状態でシャンプーを行うと悪化するため禁止しました。
また、原則として皮膚に湿気を与えないように指導しました。

ステロイド(プレドニゾロン)を段階的に減らしていく必要が
あったため、2-3週毎に漸減処方を行いましたが、1度プレド
ニゾロンを中止すると元気消失などの状態悪化が見られました。
その後プレドニゾロンの補充を再開し、現在はプレドニゾロン
0.05mg/kg/日の投与で状態悪化無くコントロールしています。

皮膚感染症の治療も同時に行いました。消毒などの外用は刺激が
強くでたため、抗真菌剤の内服とクリームなどで治療しました。
途中、膿皮症の出現もあり、細菌薬剤感受性試験のもとに
抗生剤の内服や外用を行いました。

途中、なかなか改善しない時期がありましたが、プレドニゾロン量を
0.08mg/kg/日に減らしたあたりから皮膚症状の著明な改善が
認められました。このワンちゃんの皮膚感染症に影響を及ぼさない
ステロイドの量はその量だったと考えられます。

その後抗真菌剤は終了、肝機能の数値などは正常範囲に復帰し
肝庇護剤も終了しました。

現在は、一部皮膚が固くなってる状態は残りましたが
状態は概ね良好、維持治療としての複合処方と、散見される
膿皮症に対する抗生剤の治療などを行っています。


  


耳介脱毛症の治療例 
 



2歳 柴犬 去勢オス

耳介の脱毛が発生し、真菌感染との診断にて、抗真菌治療を行い、一度は発毛した
とのことでしたが、その後また徐々に脱毛が再発したとの主訴でした。

診察時も、真菌の検査を行いましたが検出されませんでした。
また、炎症症状が見られないことから、発毛促進治療としてのホルモンバランス
治療を飼い主様にご説明、提案させて頂き、治療を行ったところ、4か月程度の
治療で完全に発毛しました。
その後、再発は認められていません。



細菌性皮膚病(膿皮症・毛包炎・膿痂疹など) の治療例
 




細菌性皮膚病(膿皮症・毛包炎など)

ワンちゃんの皮膚の毛包部位や深層に、細菌感染している症状で、毛穴単位の
症状を毛包炎、病巣が広がり表皮小環(いわゆる丸ハゲ)を形成している状態を
膿皮症と言います。

感染の深さにより表層性膿皮症、深層性膿皮症などと分類されます。

細菌性皮膚病は、病院に来られるワンちゃんの皮膚病の中で多くの割合を占めます。


単純なものであれば、2−3週間の治療で治癒します。
しかし、繰り返し再発する、あるいは症状が長引いている慢性の膿皮症の原因は
単純ではありません。

膿皮症は、皮膚常在菌(もともといる細菌)
による感染を起こしています。
もともと皮膚にいる細菌は本来悪さはしないはずですが・・・

皮膚のバリア機能が弱く
なっている
常在菌に対する
免疫力が弱くなっている
甲状腺機能低下症などの免疫力に関わる基礎疾患を持っている
アトピー・アレルギーと併発
している
細菌自体に対してアレルギー
がある
抗生物質に耐性をもつ、薬が効きにくい
菌になってしまっている
季節的な高温多湿や水遊びなどで
細菌が異常に増えている
シャンプーで皮膚を痛めてしまっている

などの
要因が複雑に絡むことにより、治りにくい慢性の膿皮症を発症してしまう
と考えられます。


基本的には、細菌感染によるものですので、消毒や外用などの殺菌と、飲み薬の
抗生物質療法が柱になります。

慢性膿皮症や難治性膿皮症になっている場合、アトピー・アレルギーや、甲状腺
機能低下症、薬剤耐性菌発生などの併発が考えられ、それらの検査および治療も
同時に行なっていく必要があり、入念な治療計画が必要になります。

当院では、症状が拡大している膿皮症において、シャンプーは皮膚を傷める原因
になっていることが多いため、原則的に禁止しています。

また、皮膚本来のバリア機能を回復させないと再発が多く見られるため、簡単な
食事の指導や、ビタミン・ミネラル・脂肪酸の補充、外用などでの皮膚の保護を
同時に行います。




深層性膿皮症



毛包炎や、表層性膿皮症より、もっと皮膚内部の深い部位まで細菌感染が
起こってしまっています。

深層性膿皮症は症状としてはより重症で、原則的には抗生物質の飲み薬が
数ヶ月から半年以上必要な場合も珍しくありません。

見た目に症状がおさまっても、皮膚の深部ではまだ感染が残っているケース
が多く、完全に治療が終わるタイミングの見極めが非常に難しいため、治療を
中止すると再発することが非常に多い細菌性皮膚病です。

また、甲状腺機能低下症などのほか、免疫力が落ちる基礎疾患を持っていたり、
治りきらずに長期化することにより耐性菌になってしまってたりすることが
非常に多く見られますので、こういった症状をもつワンちゃんは厳密な
治療計画を立てる必要があります。


 

耳介壊死症 の治療例
 



    治療開始時          5ヶ月経過

耳介の脱毛および壊死が発症しているワンちゃんの治療例です。

耳介は血流の薄い部位であったり、細かい血栓ができると閉塞を
起こしやすい部位であったり、ホルモンバランスなどによっても
脱毛が起こりやすい部位であったりしますので、血流改善とホルモン
バランスなどを考慮した特殊な治療が必要になります。

同様の症状が気温が低い冬場だけ発生する「寒冷凝集症」の子の
場合は、冬期のみの対策治療を行います。気温に関連が無く耳介の
脱毛や壊死が発生する子の場合は体質的なものがありますので、
壊死や脱毛の改善はじっくり気長に治療に取り組む必要があります。


 
苔癬化症候群(慢性アレルギー) の治療例


パグ 4歳 めす 
年中かゆく、1年前には背中以外脱毛していたとのこと。
週2〜3回薬用シャンプー。

背中以外ほとんどの部位で脱毛、象皮様の肥厚、色素沈着、ふけ、脂漏が
認められました。




 
     初診時             1ヶ月後

皮膚検査 寄生虫 陰性   細菌・酵母・皮脂 大量

一般血液検査 好酸球数上昇 アルブミン低下
甲状腺機能検査 T3 低下  T4 正常  FT4 正常範囲内の下限

これまでの経過・治療反応、皮膚症状より、「苔癬化症候群」として治療を開始。

治療
抗アレルギー剤(微量副腎皮質ホルモン・抗アレルギー・抗ヒスタミン・抗プラスミン
ビタミン・ミネラル・微量甲状腺剤)、抗生剤、抗真菌剤 を複合処方。

象皮部には、1日1回、自家調整抗脂漏ローションを塗布後、
皮膚保護剤(デュクソラールスプレー)の塗布を指示。
シャンプーは3週から月に1回とした。

また、魚食を中心とした自家食とフードのまぜごはんの指導を行なった。

1ヶ月経過の時点で、かゆみはかなり減少し、発毛も認められた。
全体的な肥厚は改善し、発毛してきたが、肘の内側などがときおり肥厚するため、
必要時ローションの塗布を行っている。

その後、抗生剤、抗真菌剤は中止し、現在は抗アレルギー剤とローションの
塗布で維持治療を行っている。


苔癬化症候群
皮膚炎が慢性的に持続することにより肥厚、皮脂腺の増生、色素沈着など
の「象の皮膚のような」症状が固定され、「苔癬化」という状態になります。

苔癬化の原因や誘引は様々で、アレルギー・アトピーによる皮膚炎の持続、
皮膚炎やホルモンバランス、乾燥肌に起因する皮脂の分泌過剰、色素沈着、
皮膚の環境劣化による細菌や酵母の異常増殖、その細菌や酵母により
また皮膚炎が強化・持続する、などの皮膚炎が長期間広範囲に持続する
集大成のような状態を「苔癬化症候群」と言います。

苔癬化症候群の治療はバランスが大変難しく、その子その子の皮膚症状に
応じた個別対応の治療を行いますが、原則的にはアレルギー・アトピーによる
皮膚炎の管理を行いながら、肥厚してしまった皮膚を外用治療にて改善
することが求められます。

また、脂漏の状態にあっても、炎症により脂漏・肥厚が出ている子が多く、
本来の皮膚は「乾燥肌」であることが多いため、栄養面においても
「乾燥肌を改善する」ための食事内容を考慮します。

苔癬化部位や肥厚部位には角質溶解性シャンプーが有効ですが、皮膚炎が
持続していたり、皮脂の分泌が盛んなところにシャンプーを過剰に行うと、
逆に皮膚炎の原因になってしまったり、皮脂を奪い過ぎて結果的にさらに
脂漏が起こってしまうなどのことがありますので注意が必要です。

当院では、苔癬化症候群の外用治療には、自家調整でのローション剤を
処方しています。

  
 

テストステロン(男性ホルモン)反応性脱毛 の治療例



1枚目(左) 治療開始時  2枚目(右) 治療開始から3ヶ月経過

3枚目(下) 治療開始から6ヶ月経過




2歳 去勢オス

左側腹部から大腿にかけてのみ脱毛。
初診時、脱毛部のかゆみあり、しきりに舐める。
皮膚症状は脱毛部のみで、その他の部位には症状は
無い様子であった。

皮膚検査 毛包虫 陰性 真菌 陰性
総白血球数 正常範囲 好酸球数 上昇
血液生化学検査 異常なし  

皮膚症状より、アレルギー性皮膚炎あるいはアトピー性皮膚炎など
は考えにくく、ホルモン失調、季節性脱毛、発毛休止期脱毛などの
脱毛が考えられた。通常、こういった症状はしきりになめる(舐性)こと
をすることは少ないと考えられるが、今回はしきりに舐めること
からその他の刺激性脱毛や、単純な虫刺されやかぶれなども無いか
などといった多方面から考慮し治療を開始した。

抗アレルギー複合処方にてわずかに発毛した。
かゆみも止まったが、わずかな発毛後、発毛は停止していた。
治療開始から3ヶ月の時点で、抗アレルギー処方にテストステロン
を追加した。
その後、明らかな発毛が認められ、すべて正常に復帰した。
完全に発毛後、テストステロンのみ1ヶ月ほど継続し終了した。
テストステロン治療終了後も、脱毛の再発は無く良好である。


去勢後一過性に認められたと考えられる、テストステロン反応性
脱毛(男性ホルモン低下性脱毛)。
正常に復帰した後に再発が認められないことから、性ホルモンに
より発毛サイクルが調整されたあとは、脱毛していた部位も正常な
発毛サイクルに復帰したと考えられた。


 
毛包虫症 (ニキビダニ症、アカラス) の治療例

ワイマラナー 2歳 めす 屋外飼育


診察時、痒みがあり、胸部から腹部、内股まで広範囲に脱毛、胸部に発赤した丘疹。
内股は毛包炎が散在していました。


毛包虫 (400倍の顕微鏡画像)

皮膚検査 毛包虫 検出 真菌 陰性 
血液検査 好酸球数 軽度上昇 白血球数 正常範囲
生化学検査 異常なし

治療
殺ダニ剤、消炎剤(抗ヒスタミン剤、抗プラスミン剤)、抗生剤、
ビタミン・ミネラル剤、免疫賦活剤の複合処方し1日2回内服
殺ダニ剤の薬浴、硫黄含有シャンプーを週1回


初診から半年経過
胸部の角化亢進・肥厚部のみまだ症状が残るが、他は症状消失している。
段階的に投薬量を減らしながら、現在も治療継続中。

毛包虫症 (ニキビダニ症、アカラス)
毛包虫は、ワンちゃんだけでなく、ヒトを含めたいろいろな動物の毛穴に
「もともと」住んでいます。母犬から受け継いでいるとも感えられています。
ノミやマダニのような、外部から感染してきた虫ではなく、元来生き物の毛穴
にいる、通常は害の無い虫ですが、なにかのきっかけがあり異常に増殖すると、
かゆみ、脱毛を引き起こします。症状がニキビの症状に見えることから、
ニキビダニの別名でも呼ばれます。

毛包虫は、生き物の免疫力、抵抗力にかなり左右されて発症します。
幼犬での発症と、老犬での発症が多く、免疫力がまだ未発達、あるいは、免疫力が
落ちてきたりすると自然発症します。また、副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)を
投与しているときに、免疫が抑えられて毛包虫症が発症することがあります。

患部が広範囲にわたる全身性毛包虫症、丸ハゲができているだけの局所性毛包虫症
があります。また、毛穴に細菌感染を引き起こしている化膿性毛包虫症や、全身が
脂っぽくなっている脂漏性毛包虫症、ステロイド投与による毛包虫症など、
ワンちゃんの症状により治療の仕方は変わります。

治療は、毛包虫を殺虫することが最優先ですが、皮膚炎を引き起こしていたり、
皮脂がさかんに分泌されていたりといった、二次的な症状もかなり多く見られる
ため、皮膚炎の管理と、栄養学的な皮膚のコンディション向上、および免疫力
強化を考慮した指導も合わせて行っています。

毛包虫症は体質的な素因があり、治療途中や治療完了後再発することもしばしま
認められます。治療はまず毛包虫が完全に検出されなくなるまでは継続し、その後
少なくとも半年は再発防止の治療を行うことがあります。

毛包虫症は根気が必要な皮膚病ですが、しっかりと継続治療を行うことにより
回復が可能です。


シーズーの脂漏性アトピーの治療例

シーズー 6歳 めす 屋内飼育


2年前に、引越ししてからアレルギーを発症。
下顎の下から首、胸、おなか、大腿と四肢の内側など、背中と頭以外のほとんどの場所に脱毛と
脂漏感、鱗屑が認められ、強いかゆみを伴っていました。
特に、首から胸部、四肢内側、は肥厚し、象皮になっていました。

皮膚検査 毛包虫 陰性 マラセチア 多数 皮脂 過剰
好酸球数 上昇
生化学検査 正常範囲内
甲状腺機能検査 T3 低下 T4 低下 FT4 低下 

治療
抗アレルギー剤(副腎皮質ホルモン、抗ヒスタミン薬、抗プラスミン薬、ビタミン・ミネラル)
抗真菌剤(1ヶ月のみ)、甲状腺剤、ビタミンE・オメガ脂肪酸
外用として、抗脂漏ローション、コールタールシャンプー、保湿性シャンプー



2ヶ月経過時点
皮膚炎は消退し、発毛中。かゆみはほぼない。この時点でローション塗布は終了。



半年経過時点
完全に発毛し、普通のワンちゃんと何ら変わりない。アレルギー内服は1日おき、
シャンプーは月1回。

シーズーは、柴、フレンチブルドッグ、ゴールデンレトリバーなどと並んで、アレルギーや
皮膚病の発生が多い傾向のある犬種です。
また、原産国が日本より乾燥、寒冷のため、犬種的に皮脂腺が活性化しやすい、脂漏体質の
ワンちゃんが多く見られるのも特徴です。

脂漏体質の場合、脂漏により二次的にマラセチア(酵母様真菌)が増殖したり、アレルギーを
悪化させたりすることが多く、脂漏とマラセチアに対する対策(飲み薬および外用)も重要に
なります。また、乾燥肌による、フケの多い乾いた脂漏(乾性脂漏)と、とにかく全身ベッタ
ベタの脂っぽい脂漏(油性脂漏)、皮膚炎が起こっている部分だけが脂漏(炎症性脂漏)などと
分類しており、個々の皮膚の状態で対応が変わります。

脂漏は体質的なものであるため、脂質代謝に関わる事項(食事内容、肝臓胆のう
などの状態、甲状腺ホルモン等の状態)も考慮しながら治療を検討します。

外用としてのシャンプーは、「適度に」が肝要です。頻度が多すぎれば、皮膚を乾燥させすぎて
脂漏が却って強くなったり、シャンプー時の水温が高すぎれば、かゆみを増してしまったり、
膿皮症のように細菌感染を伴う場合は、体質によりとびひして悪化してしまったり、など、
個々のワンちゃんの皮膚の状態や、季節の温度湿度に合わせて対応する必要があります。
また、シャンプーにより悪化するような皮膚の状態の場合は、中止して経過を見るのも
ひとつの治療になる場合もありますので、あくまで個別対応が重要になります。



眼周囲の症状が特徴的なアトピー性皮膚炎の治療2例


左 初診時  右 2ヶ月経過時点


左 初診時  右 1年経過時点

この2匹のワンちゃんは、当院にてアトピー性皮膚炎の治療を継続しています。
アトピー性皮膚炎の特徴に、眼周囲、口唇周囲、腋下、四肢、肉球間、胸腹部、大腿内側、
肛門周囲などの「症状の出やすい部位」があります。
特に、眼周囲や肉球間などは、なかなか症状が強く残りやすい部位で、治療の経過を観察して
行く上で重要です。

眼周囲や肉球間の症状が強いワンちゃんは、かゆみやストレスがの軽くなると同時に、皮膚症状も
軽くなっていきます。また、悪化する場合はこういった部位から悪化していくことも多いため、
眼周囲に特徴的な症状を持つワンちゃんはひとつの指標になります。


乾燥肌を素因としたアトピー性皮膚炎の治療例

ミニチュアダックス 7歳 めす 室内飼育




1年ほど前より、首周り、胸部から腋下、腰部、臀部のかゆみ、脱毛の症状が出てきたとのこと。
週3回シャンプーしているとのことでした。
来院時、全体的に希毛傾向、皮膚の質感はカサカサに乾燥していました。
頚部、腋下、臀部、パッド内が特に痒みが強く、また、臀部の脱毛部は細菌感染を伴う
色素沈着が認められました。

皮膚検査 ニキビダニ 陰性  皮膚真菌 陰性
好酸球数 正常範囲内
血液検査・血液生化学検査 特記なし
甲状腺機能検査 T3 低下  T4 基準値の高め  FT4 基準値の低め

治療
抗アレルギー剤(副腎皮質ホルモン、抗ヒスタミン薬、抗プラスミン薬、ビタミン・ミネラル)
甲状腺剤、ビタミンE・オメガ脂肪酸
抗生物質(治療開始2週間のみ)、シャンプーの休止を指示。




2ヶ月経過 皮膚炎は消退し、全体的に発毛してきている。ほぼかゆみもない。
特に、アトピー性皮膚炎の好発部位である腋下と、臀部の発毛が顕著である。

アトピー性皮膚炎の素因として、乾燥肌はよく認められます。脂漏があるワンちゃんも、
基礎的素因は乾燥肌であることが多く、乾燥肌ワンちゃんは保湿が重要になります。
保湿には、シャンプーや外用剤での方法と、皮膚機能に対する栄養学的な方法とありますが、
ワンちゃんの皮膚のターンオーバー(再生サイクル)は約22日と考えられていますが、
乾燥肌やふけ症、脂漏症などではそれよりサイクルは短くなっています。

皮膚本来のバリア機能を回復させるにはシャンプーの頻度や方法をケースバイケースで
考慮する必要があります。具体的には、頻回にシャンプーしたほうが良い場合と、むしろ
シャンプーをお休みしたほうが良い場合と、状態により指示しています。

甲状腺機能検査において、1項目だけ顕著な低下が認められる(この症例ではT3)場合、
甲状腺ホルモンの転換機能不全(この症例ではT4からT3)が存在する場合があります。
体内の甲状腺ホルモンは、そのほとんどがT4として存在しますが、細胞内に入り効果を
発揮するのはT4から変化した後のT3であると考えられています。

通常は、甲状腺機能低下症の治療はT4製剤で問題ありません。しかし、T3はT4より
ホルモンとしての活性がかなり高く、当院ではこういった症例に対し、T3T4を含有した
甲状腺剤を投与することがあります。



 

アトピー性皮膚炎、慢性膿皮症、甲状腺機能低下症の治療例
ラブラドール・レトリバー 9歳 おす 室内飼育


両背側全域、四肢、腹部を中心に脱毛、膿皮部があり、眼周囲、口唇周囲、パッド内、腋下、
胸部から腹部、陰嚢など発赤、腫脹、りん屑が認められました。
脂漏感は少なく、基礎には乾燥肌がある様子でした。
また、当院に来院した当日も、内服薬を投与したとのことでした。

皮膚検査 ニキビダニ 陰性 皮膚真菌 陰性
血球検査 総白血球数 正常範囲 好酸球数 0
血液生化学検査 肝・胆道系検査値の高度上昇 
甲状腺機能検査 T3 低下 T4 低下 FT4 基準値の下限
腹部超音波検査 胆汁ウッ滞  尿検査 尿比重 1.018

治療
抗生物質
抗アレルギー剤(副腎皮質ホルモン、抗ヒスタミン薬、抗プラスミン薬、ビタミン・ミネラル)
甲状腺剤、排胆剤、強肝剤、ビタミンE・オメガ脂肪酸
皮膚用消毒剤
治療開始1ヵ月後より、免疫グロブリン含有サプリメント追加
治療開始2ヵ月後より、ホルモン調整サプリメント(R&U)追加

治療5ヶ月半経過




このワンちゃんは、基礎的な病態はアトピー性皮膚炎ですが、副腎皮質ホルモンの投与に
より免疫力が低下し、皮膚常在菌への感染がしやすくなっていたことによる慢性膿皮症、
そして体質的な要因として甲状腺機能低下症を併発していたことによって難治性皮膚病に
なっていました。

まず膿皮症の治療を優先するため、副腎皮質ホルモン剤を減量する必要がありましたが、急に
中断することは避けるため、体重あたり0.01mg単位で計算し、それまで投与していた1/3から
1/5量の副腎皮質ホルモン剤を継続、徐々に減量しました。
また、有効な抗生物質を選択投与、シャンプーを禁止し外用剤塗布を指示、4ヶ月間膿皮症を
治療しました。
(皮膚の細菌感染である「毛包炎」や「膿皮症」は、体質により、シャンプーをすること自体や、
温風ドライヤーの使用で皮膚症状が悪化することがあるため、中断あるいは非常に注意して
行う必要があります。)

現在は、膿皮症がほぼおさまってきたため、抗生物質を減量しながら、副腎皮質ホルモン剤
の量を調整し、アトピー性皮膚炎の治療を継続しています。かゆみは陰嚢などに多少残るものの、
良好な生活を送っており、今後は現在の状態の維持治療を行う最小限の投薬量を見極めるため
経過観察中です。

当院では、特に甲状腺機能低下症と膿皮症を併発しているワンちゃんに対し、R&U剤による
補助的治療、発毛効果が認められることが多々あるため、積極的に投与しています。




シェルティの家族性皮膚筋炎の治療例

シェトランド・シープドッグ おす 生後3ヶ月



初診時、竹でのすり傷が治らないとのことで、顔面、鼻梁を中心とした脱毛と、
前肢の点状脱毛、脱毛部の皮脂の過剰分泌が見られました。
1週間抗生物質を投与しましたが、全く改善は認められませんでした。

皮膚検査 ニキビダニ 真菌 陰性
血液検査 好酸球数 412 その他 異常所見なし

皮膚症状および経過より、「家族性皮膚筋炎」または「子犬の腺疫(若年性膿皮症)」等の鑑別を
要するため、皮膚生検(皮膚の一部を切り取る検査)を要しましたが、飼い主さんとの話し合い
の結果、生検は希望せず治療を行うことになりました。

副腎皮質ホルモン剤、免疫抑制剤、抗生物質(ドキシサイクリン)、抗真菌剤(グリセオフルビン)
血液循環改善剤(ペントキシフィリン)、抗ヒスタミン剤、ビタミン・ミネラル剤を体重比で
計算し粉薬にして処方しました。

副腎皮質ホルモン剤やドキシサイクリンなどは、子犬の治療としてはかなりハードな処方に
なるので、2週間ごとの経過観察を行い、処方の漸減を行いました。



5ヶ月経過

当初病変の治療に対する反応は薄かったのですが、1ヶ月から1ヵ月半経過した頃より
脱毛部の範囲縮小と発毛が認められました。
現在は、お薬の量を開始当初よりかなり減量し継続しています。
皮膚症状および治療経過より、「シェルティの家族性皮膚筋炎」であると思われます。


「家族性皮膚筋炎」
この病気を発症する子はコリーやシェトランド・シープドッグ種(シェルティ)が多いため、
遺伝性疾患と考えられています。また、自己免疫性疾患とも考えられています。
その名のとおり、この皮膚病は皮膚に炎症症状を起こす場合と、咀嚼筋(ものを食べる時に
使う筋肉)などの筋肉に炎症を起こす場合と、いくつかの症状のタイプがありますが、
皮膚症状の場合は画像のような顔面の脱毛を呈することが多く見られます。
また、脱毛は皮膚の血液循環が少ない部位が多いといわれています。

この皮膚病は、治療をしても無効な場合、炎症だけ管理する場合、自然治癒する場合など、
治療に対する反応は様々です。また、炎症の管理に副腎皮質ホルモン剤を投与しますが、
ドキシサイクリン、サルファ剤などの免疫調整・抗炎症作用を持つ抗生物質・抗真菌剤や、
ビタミンEなどの抗炎症・抗酸化・循環改善作用を期待する栄養剤投与等も推奨されます。
いろいろ治療した結果、いずれも無効であったケースもありますし、無処置で経過を見る
場合もあります。

今回のケースは、治療によりしっかりと発毛したのか、自然治癒したのかはわかりません。
しかし、炎症の管理や、免疫調節的管理、皮膚の血液循環の管理、発毛に対する栄養的管理
など、少しでも快方に向かうためのサポートを行ったことで奏功したのかもしれません。



膿皮症の治療例

パグ 3歳 避妊めす 室内飼育


(写真は、初診ではなく治療2週目のものです)

毎年、皮膚病が出ていたとのことで、今年は半年程前より発症していたとのこと。
かゆみあり、今年は改善がないとのことでした。

体側に表皮小環(円形脱毛)散在、脱毛部のみ皮脂分泌過剰、色素沈着。
ただし全体的には乾燥肌。肛門周囲、陰部、臀部、パッド内は発赤していました。

皮膚検査 ニキビダニ 真菌 陰性
一般血液検査 特記所見なし
甲状腺機能検査 T3 低下 T4 基準値の低め FT4 基準値の低め
細菌薬剤感受性検査 抗生剤1種類のみ耐性

皮膚常在菌(もともと皮膚にいる細菌)に対する免疫不全による膿皮症と診断しました。
治療開始当初は抗生物質(ドキシサイクリン)のみで治療し、途中より抗アレルギー剤を
併用しました。また、少量の甲状腺剤も添加し経過を見ていきました。
治療1ヵ月半はシャンプーを禁止し、その後保湿性シャンプーのみ指示しました。


2ヶ月経過


4ヶ月経過


約5ヶ月経過



偽クッシング症(脱毛X)の治療例

ポメラニアン 9歳 おす 室内飼育

1-2歳の若齢より、脱毛した。
また、3年ほど前より、膿皮症が度々発症していたとのこと。

   



肩甲部、腋下、左右側腹、腰部、尾部の脱毛、色素沈着、表皮小環散在。
脱毛周囲の被毛の粗剛変化。脱毛部を中心とした二次性の膿皮症、脂漏が認められました。
また、痒みも認められました。

皮膚検査・血液検査 特記異常所見なし
甲状腺機能検査 T3 正常範囲  T4 低下  FT4 低下

臨床症状および経過より、ポメラニアンの偽クッシング症および二次性膿皮症と診断し
治療を開始しました。

10ヶ月経過



実は、治療開始2ヶ月ほどはあまり経過が良くありませんでしたが、3ヶ月頃よりだんだんと
良化し、発毛が認められました。10ヶ月経過した現在、脱毛は80-90%改善されています。
また、脂漏感も減少し、粗剛だった被毛もフワフワになってきました。

偽クッシング症(脱毛X)
ポメラニアンによく認められる、内分泌性(ホルモン性)脱毛症です。
ポメラニアンは、犬種特異的に、成長ホルモン、性ホルモン、副腎皮質ホルモン、甲状腺
ホルモンのバランスの異常が認められる子が存在すると考えられています。
この脱毛症の治療は複雑で、成長ホルモンの投与、避妊去勢による中性化、性ホルモンの
投与、メラトニン(松果体ホルモン)、抗副腎皮質薬の投与など、いろいろな治療方法が
試されておりますが、うまくいく場合、いかない場合、うまくいっても一過性の場合など、
非常に治療に悩ましい皮膚病に分類されます。

当院では、偽クッシング症に対し、当院にて独自調剤の粉薬およびホルモン調整サプリメント
(R&U:牛越生理学研究所)により治療を行っています。また、二次性の膿皮症に関しては、
必要に応じ抗生物質の投与を行います。
治療に反応がある子は、3ヶ月から8ヶ月程度の間で発毛が認められることが多いようです。
この脱毛はホルモンバランスの崩れにより起こるため、発毛後はいかに良好な状態を保つか
というホルモンバランスを考慮した維持治療が必要です。


疥癬(カイセン)寄生の治療例

猫 推定2-3ヶ月 めす



このネコさんは、拾われてそのまま連れてこられたネコさんです。
お連れ頂いた当日は、意識もうろう、低体温の瀕死の状況でした。
支持療法にて元気食欲は回復しました。

頭部頚背部から耳介、顔面にかけて、激しいかゆみ、粟粒状の分泌物。
触ると象の皮膚のような感触。

皮膚検査 疥癬

殺ダニ剤の内服、硫黄含有クリームおよびシャンプーを処方しました。

1ヵ月経過

皮膚症状の消失、発毛。

疥癬ヒゼンダニ(皮膚寄生虫)症
感染すると、皮膚の角質の中に「疥癬トンネル」という「巣」を掘って侵入し、どんどん
広がり悪化の一途を辿ります。
このダニは、猫のみならずイヌ、タヌキなどの各種動物、そして「ヒト」にも感染して
しまうことがある
ので厳重な注意が必要です。

殺ダニ剤の内服あるいは注射が基本的な治療法になりますが、外用として軟膏や
薬浴をすると早く治癒したり、あるいは外用を併用しないとなかなか治らない場合
があります。
最近は、ある種のノミ駆除予防用スポット製剤が疥癬治療に効果があるという報告
もあります。

殺ダニ剤は、ダニの卵には効果が無く、産まれたての卵が孵化するのが最大3週間
程度かかるため、治療は最短で1ヶ月程度、再感染や、重症の場合は2-3ヶ月かかる
こともあります。


疥癬感染のゴールデンレトリバーの耳介脱毛

また、ワンちゃんでは、症状だけでは「各種アレルギー性皮膚炎」や「細菌感染症」
「真菌症」などと判別がつかないケースや、皮膚検査を行っても検出されないケース、
さらには「疥癬に対するアレルギー」がある場合などがあり、猫に比べてさらに注意を
要します。


ウエーバー・クリスチャン病(無菌性脂肪織炎)の治療例

ミニチュアダックスフント 2歳 去勢おす


2ヶ月ほど前より、身体のあちこちを自分で咬んでいる。
元気がなくだるそうで、以前は食欲は変わりなかったのが、ムラが出ている。
やせてきているとのこと。
傷があちこちにあるので、軟膏を塗布していたとのこと。
(皮膚病ではなく、体調が悪いとのことで来院された。)

体温40.0℃ 身体全体が熱感あり。
顔面、四肢、背側に創傷、色素沈着、ビランあり。
内股、色素沈着あり、また、傷もあったとのこと。

皮膚検査 ニキビダニ 真菌 陰性
皮膚スタンプ検査 好中球 マクロファージの増殖
血液検査 ALPの上昇以外特記なし

経過と臨床症状より、去勢手術時の縫合糸に対する拒絶反応に由来する、
無菌性脂肪織炎を疑い治療を開始した。

副腎皮質ホルモン剤、免疫抑制剤2種、免疫調整剤、抗生物質、胃腸薬。
また、治療開始後、オーナーとの話し合いにより、去勢手術痕の縫合糸を除去する
手術を行った。

10ヶ月経過


びらん、内股の色素沈着の消退

現在も、副作用の監視を定期的に行いながら、少量の副腎皮質ホルモン剤と、
免疫抑制剤2種、免疫調整剤、抗生物質、胃腸薬の投与は継続しています。

実は、手術前からの副腎皮質ホルモン剤の副作用によりかなりの肥満体になったため、
手術後中断可能かどうか判定するため、2週間ごとに減量、中止したところ、発熱や元気
食欲消失の症状や、皮膚のビランが再燃し、治療に難航しました。

しかしながら、手術前に比較し薬の量は明らかに減量可能になったため、食事の量
および再び開始した薬の量を徐々に調整後、体重も減り、皮膚症状、全身症状も
落ち着いています。

無菌性脂肪織炎は、何らかの原因(突発的、薬剤、体内の縫合糸など)に対する反応より
続発的に、皮膚の下の脂肪の層を自分で攻撃してしまう体質になる「自己免疫疾患」で
あると考えられています。
ダックスフントに多い傾向があると考えられていますが、それ以外の犬種でも
発生は起こります。

原因を除去して完治する場合と、免疫異常の体質は残る場合とあり、治療の継続が
必要な子の場合は、「病気とお付き合いする」、かなりの長期治療となります。


ダックスフントのアカントーシス(表皮肥厚症)の治療例

ミニチュアダックスフント 9歳 未避妊めす 室内飼育



BCS(ボディコンディションスコア) 5
四肢先端、顎下、前胸部、腋下、腹側を中心に、炎症、色素沈着、肥厚。
かゆみは強く、また、四肢は典型的なアカントーシス(表皮肥厚症)の症状でした。

好酸球数 正常範囲内
生化学検査 異常なし
甲状腺ホルモン 正常範囲内

抗脂漏用ローション

抗アレルギー剤(副腎皮質ホルモン、抗ヒスタミン薬、甲状腺ホルモン、ビタミン・ミネラル)


1.5ヶ月経過


古くはダックスフントのアカントーシスと言われていた病態ですが、現在はアレルギー性
皮膚炎の一種と考えられています。
基礎にハウスダストなどに対するアレルギー素因があり、また、皮膚の炎症部位などの
タイプにより特徴的な皮膚の肥厚が見られます。
この症状を呈するワンちゃんは、肥満傾向が多いため、なにか関連があると考えられますが
詳しくは解明されておりません。
ヒトのほうでは、ビタミン(特にビタミンA)の補充が効果的という説もあるため、
抗アレルギー剤とともに、皮膚に対するビタミンや脂肪酸の補給も大切です。
抗アレルギー剤の治療に反応するため、継続する必要がありますが、副作用の監視には
細心の注意が必要です。



若例のアトピー性皮膚炎の治療例

紀州犬 1歳 おす 屋外飼育


飼育開始の時点から、激しいかゆみや脱毛があったとのこと。
眼周囲、腋下、腹部から内股、大腿内側、パッドに激しい症状(発赤、脱毛、色素沈着)
が認められました。
また、脱毛部は非常に乾燥した、「カピカピした」皮膚をしていました。

皮膚検査 ニキビダニ 陰性  真菌 陰性
血液検査 好酸球数 高度上昇
生化学検査 異常なし

抗アレルギー剤(副腎皮質ホルモン、抗ヒスタミン薬、ビタミン・ミネラル)



3ヶ月経過。
大腿内側の発毛、色素消退が認められる。
眼周囲の色素沈着の消退。

よくアウトドアに行くワンちゃんとのことで、ところどころに季節性や湿気による
細菌感染が認められますが、おおむね経過は良好のようです。

かゆみは完全にはおさまっていませんが、抗アレルギー剤の継続によりワンちゃん
として良好な生活を維持しているとのことで、現在も経過観察中です。



細菌性アレルギーが疑われる治療例

雑種犬 7歳 避妊めす 屋外飼育

   

   

上段 背側の広範囲脱毛   左下 後肢の脱毛  右下 毛包一致性の膿皮、丘疹

これまで抗生物質および副腎皮質ホルモンの投薬、週1回のシャンプーを行っていたが、
脱毛が進行してきたとのことで来院。

一昨年の春よりかゆみ、皮膚症状あり。
頭部、背側を中心に、膿皮が散在。四肢にも症状がでておりましたが、腹側やパッドには
症状はあまり見られませんでした。

皮膚検査 ニキビダニ 陰性  真菌 陰性
血液検査 コレステロールの上昇 
甲状腺ホルモン測定 T基準値内の低め

抗生物質
抗アレルギー剤(副腎皮質ホルモン、抗ヒスタミン薬、ビタミン・ミネラル)
オメガ脂肪酸の補給
ホルモン調整サプリメント(R&U)

自己免疫性皮膚病、日光アレルギー、細菌性アレルギー、ホルモン失調症などの鑑別を
要するため、シャンプーの中止、犬小屋の日陰への移動、夜のお散歩などを指示。

3ヶ月経過
  

  

診療開始し2ヶ月はあまり変化がありませんでした。
抗生物質の変更および、ホルモン調整サプリメントを開始後発毛が認められました。
背側や四肢の被毛の質も改善しています。
耳介の斑状脱毛や、鼻梁、尾の脱毛はまだ改善が認められません。

5ヶ月経過
 


非常に熱意と愛情に溢れたた飼い主さんのご協力により、根気良く継続治療させて
頂いた甲斐あり、しっぽも耳も発毛しました。


猫の好酸球性皮膚炎の治療例

雑種猫 11歳 避妊済めす 完全室内飼育

毎年、春先から夏季にかけて、皮膚炎があるとのことで来院。
しきりに舐めて、脱毛するとのこと。
  

皮膚検査 異常なし
好酸球数 1534個
生化学検査 異常なし

臨床経過、症状、除外診断により、好酸球性皮膚炎と診断しました。
飲み薬が難しい猫さんとのことでしたので、副作用を考慮しながらの
持続型副腎皮質ホルモン剤の注射による治療を開始しました。

1週間経過 皮膚炎は消失しているがまだ残る。わずかに舐性あり。
 

1ヶ月経過 皮膚病変は消失。舐性もなくなった。 
 

猫の好酸球性皮膚炎は、アレルギー説、ホルモンバランスの崩れ説、骨髄などの造血器官の
崩れ説、代謝不全説など、いろいろな説がありますが、どの説もはっきりとは証明されて
いません。
皮膚寄生虫などが除外され、血液検査にて「好酸球」が増加していることが確認された場合、
体質的に「好酸球性皮膚病」の素因を持っている可能性が強く疑われます。

猫さんの場合、飲み薬が困難な子も多いため、注射治療の副作用の防止、皮膚症状の再発の
防止には細心の注意が必要です。


仔犬の口唇脱毛症の治療例

雑種(ゴールデンレトリバー×ラブラドールレトリバー) 3ヶ月 おす 室内飼育



ペットショップより購入時より、口唇周囲が脱毛しているとのこと。
かゆみなし。

皮膚検査 ニキビダニ 陰性 真菌 陰性

ニキビダニ症を想定し、殺ダニ薬、抗生物質にて1週間治療するも改善ないため、
殺ダニ薬、ホルモン調整サプリメント(R&U)を1週間投与した。




発毛が認められた。

仔犬の顔面脱毛症には、ニキビダニ症や若年性膿皮症、蜂窩織炎などといった特殊な病気が
見つかることがあります。膿皮症や蜂窩織炎などは炎症性ですが、炎症性がないもので
ニキビダニ症でないときに、ホルモン調整サプリメント(R&U)で発毛したワンちゃんを何匹か
経験しています。病理や因果関係は全く解明されていませんが、副作用のない治療なので
心配なく開始できます。



猫の蚊刺症(蚊のアレルギー)の治療例

雑種猫 2歳 避妊めす 室内飼育だが庭に少し出るとのこと




去年も暑い時期だけ皮膚病が出て痒かった、軟膏を塗っているが治らない、との
ことで来院。

猫の「蚊のアレルギー」の典型的な経過と症状のため、視診のみで診断しました。

蚊アレルギーは特徴的な症状が「耳介」「鼻梁」そして「肉球」などに、季節性をもって
出現します。

根本的な対策は、完全に室内で飼育して、蚊の対策を行う、に尽きますが、対症
療法としては痒みが強くストレスがかかる状況であれば内服あるいは注射にて
ステロイド剤や抗ヒスタミン剤の投与、軟膏の塗布などで行います。



ハウスダスト・アトピーおよび舐性皮膚炎の治療例
      

2歳 フレンチブルドッグ 未去勢オス 体重13kg 屋内飼育

昨年夏より、かゆみが生じ、肉球をしきりに舐めるとのこと。
また、顔面や口唇、陰嚢など全体的に皮膚が赤く、過剰な皮脂分泌も見られました。
四肢ともに、パッド内は重度の発赤、右前肢は舐性皮膚炎になっていました。

発症時期および発症部位より、ハウスダストに対するアレルギーは存在すると判断。
皮膚の炎症により、炎症部位の皮脂腺の活性化による局所的な分泌過剰があるため、
シャンプーを行わないよう指示。

抗アレルギー剤(副腎皮質ホルモン、抗ヒスタミン薬、抗プラスミン薬、ビタミン・ミネラル)
を体重当たり0.01mg単位で計算し複合処方。抗生物質も併用。



      

現在、舐性はおさまり、陰嚢周囲の皮膚の発赤、眼周囲の浮腫も消失しています。
口唇周囲の発赤はまだおさまっておらず、付着するハウスダストや細菌などに対する
アレルギーは依然として存在していることが考えられます。

現在は抗アレルギー剤の副腎皮質ホルモン量を減量、休薬日を設けて継続しています。



ハウスダスト・アトピー、甲状腺機能低下症、皮膚マラセチア症の併発例
       

13歳 雑種犬 避妊めす 体重9.5kg 屋内飼育

副腎皮質ホルモン剤、免疫抑制剤、抗生物質を投与していたが、
だんだんと脱毛とかゆみが治まらなくなってきていたとのことで来院。

眼周囲、顔面、腹側から内股全体、四肢、尾など、全身が発赤、脱毛、毛包炎。
かゆみは全身にあり、また体全体がフケと脂漏感が強い状態でした。

皮膚検査 ニキビダニ 陰性  
毛根検査 皮膚糸状菌 陰性
皮膚スタンプ検査 マラセチア(酵母様真菌) 過剰な皮脂

血液検査 ALPの上昇 甲状腺機能低下 


抗真菌剤、抗生物質
甲状腺ホルモン製剤
抗アレルギー剤(副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン薬、抗プラスミン薬)
ビタミン、ミネラルなどを体重あたりに計算し複合処方。

外用として、当院にて調整の脂漏用ローション
抗真菌シャンプー、アトピー用シャンプーを処方。




現在、ゆっくりとですが発毛してきています。
根本的な、ハウスダストに対するアレルギーは存在することと、脂漏体質は甲状腺ホルモンを
補充してもなかなかおさまらないため、皮膚症状は完全にはおさまっておりません。
ハウスダスト、真菌、細菌に対するアレルギーのケアは常に行う必要がありますが、総じて
飼い主さんはご納得していただいております。

 

肢端舐性皮膚炎(舐めだこ)の治療例


     治療前           2週間後             1ヶ月後


2歳 キャバリア 未去勢オス 9.4kg 屋内飼育

前肢指間 舐性皮膚炎。軟膏を塗っていたが舐め取ってしまうとのことで来院。
脂性外耳炎あり。その他の皮膚症状はありませんでした。

抗生物質
精神安定剤
抗アレルギー剤(副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン薬、ビタミン、ミネラル)

を体重あたりに計算して複合処方。
同時に外耳炎の治療を行い経過を観察した。

2週間で、舐性は止まり、発毛が認められたので投薬を中止した。

舐性皮膚炎は、「舐め始めること」によりかゆみや症状が生じることも多くあるため、
「かゆみに対し敏感、繊細なワンちゃん」ということが多く、「かゆみ」が先か、「性質」が
先かは「ニワトリと卵」の関係です。
軟膏製剤で治癒することもあれば、軟膏は舐め取ってしまい、内服でないとなかなか
治療がうまくいかないこともあるので注意が必要です。

 
アレルギー性皮膚炎の治療方法

「診断方法」「検査方法」については、診察時に飼い主さんにお話するほうがわかりやすい
ためここでは詳細は述べませんが、「治療方法」に関して記述します。

アレルギー性皮膚炎の治療方法は、大きく分けて(1)対症療法、(2)緩和療法、(3)根治療法
の3つに分かれます。

(1)対症療法
当院では、基本的にはそのワンちゃんの体重に基づいて計算し、10〜20種類の薬剤を
複合し調剤した「抗アレルギー薬」を処方いたします。
このなかで一番副作用が怖いと言われているのが「副腎皮質ホルモン剤=ステロイド剤」
です。重大な副作用としては、糖尿病などが有名です。

大量投与や、飲んだりやめたりを繰り返すことにより、だんだんと副腎皮質ホルモン剤
が効かなくなってくる、投与量を増やさないといけなくなってくる悪循環に陥ってしま
うことは、ままあります。しかしながら、アレルギー性皮膚炎の治療において欠かせな
い効果があるのは事実です。

当院でも、副腎皮質ホルモン剤は極めて微量処方します。逆に言えば、アレルギーの対
症療法にはさじ加減が重要なため、プレドニゾロンでは体重1kg1日あたり最大でも
0.18mgまでの極々微量しか、通常のアレルギー性皮膚炎では処方しません。

皮膚炎とお付き合いしていく必要があるワンちゃんで、できるだけ良好な状態での
維持量として、体重1kg1日あたりプレドニゾロン0.05〜0.11mgという超低用量で
副作用なくコントロールできている子は多数おられます。

副腎皮質ホルモン剤は、他の抗アレルギー剤と相乗的に効果を発揮します。複合処方に
よって、ほぼ生理的に体内にある量に近い量での副作用の認められない投薬が可能です。
また、アトピー体質の皮膚は保湿力が非常に悪い場合が多いため、内臓や栄養状態を
総合的に考慮し、ビタミン・ミネラルなどを配合し保湿力を高める処方をします。

本格的なアレルギー性皮膚病は、症状をコントロールし、その子その子の必要な最小限
の投薬量、投薬間隔を見極めることが必須ですので、時間がかかっても根気よく継続
して治療することが、皮膚病のストレスから開放される最善かつ最短の道です。

その他、外用薬やシャンプーなどは、そのワンちゃんによってかなり必要性に差があり
ますので、ケースバイケースで判断しています。
(場合によっては、シャンプーを禁止する状態の皮膚のワンちゃんもおられます)

(2)緩和療法
根本的治療法ではありませんが、体質改善を促し、対症療法の補助的治療となるものには、
当院では以下のものをオプションとして行うことがあります。

イヌインターフェロン-γ注射による免疫調整治療
オメガ脂肪酸の補給
ホルモン調整・抗酸化サプリメント(R&U)
免疫グロブリン含有サプリメント
副腎皮質刺激ホルモンの定期的注射
フードあるいはレシピ手作り食による食事改善

これらは、単独で治療的効果を発揮するというよりも、対症療法の効果向上、または対症
療法の減量を目的に行います。

(3)根本的・免疫療法
体質自体を改善する目的で行う治療です。詳細は獣医師にお問い合わせ下さい。

ハウスダスト・舌下減感作療法
ご自宅のハウスダストを用い、無菌化した抽出液を作成し、10000倍に希釈したものを
鼻や舌の下の粘膜に滴下します。
10000倍からスタートし、1ヶ月ごとに濃度を濃くしていきます。
漆職人が、毎日少し漆を舐めていると漆にかぶれないことと同様の原理で、アレルゲンを
少しずつ摂取することにより過剰に反応しないよう慣れさせることが目的です。
ヒトのほうでは花粉症の治療に応用されています。


本当のアトピー体質、アレルギー性皮膚炎は長期の治療になることが多いものです。
飼い主さんと、動物病院スタッフの相互理解と、根気がなにより大切ですので、当院では
飼い主さんへのご説明の徹底と、「治療説明書」をお渡ししています。


アレルギー性皮膚炎以外の皮膚病の治療方法

アレルギー性皮膚病以外にも、皮膚病は様々なものがあります。
寄生虫性、真菌(かび)性、食べ物によるもの、自己免疫性、内分泌(ホルモン異常)性、
性格によるもの、他にも様々な要因によって、そして複合的になっていることもあります。

さらにワンちゃんと猫さんでも、投薬方法の違い(難しさ)によって違いが生じます。

基本的には、「全てケースバイケース」としか言えませんが、同じ病名、同じ治療でも、
そのワンちゃん猫さんの飼育条件や性格などの要因によって違いが生じます。

カビや寄生虫病などでは根治治療が可能なこともありますし、体質的な異常が複合している
ケースも多々あるため、長期的な展望を要するか見極めも重要になります。

ペットとオーナーのお悩みの種である皮膚病を、少しでも改善できるよう当院は努めます。


遠方や高知県外で治療をご希望の飼い主さんへ

当院では、ワンちゃんの皮膚病診療を希望される遠方の方がおられますので、以下の
要領で診療をすすめています。

1 お電話いただき、皮膚病用問診票をFAXします。FAXが無い方は御来院時、皮膚病用
問診票の記入をお願いします。

2 初診は当院まで御来院いただきます
  皮膚検査や血液検査等、必要な検査を順次行います。
  初診を御来院されずに治療はできませんのでご了承下さい。

3 治療方針や処方が決定次第、お薬をや外用薬など当日お渡し可能なものはお渡しします。

4 当院での継続治療が必要な場合、メールアドレスをお渡しし、経過をデジタルカメラ等
で送っていただきながら治療します。
  かかりつけの動物病院でも対応可能な皮膚病の場合は、別途指示いたします。

5 当院の継続治療が必要な皮膚病で、経過観察が必要な場合は、可能であれば通院していただいておりますが、遠方の場合通常は数ヶ月〜半年に1度の再診を指示しています。
  あるいは地元のかかり付けの動物病院にて内蔵機能の血液検査等をお願いする場合など、ケースバイケースで指示しています。

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